2010年10月12日

オリジン

『僕はその一軒家を、独身ウハウハ状態ハウスにしようと企んでいたんだけど(笑)』(桐嶋ローランド)


LWHの主となってから半年。
家を建てた事を殊更に言いふらす必要もないので、その話題について自分から口にする事はまずない。しかし住居移転については人事部に届け出なければならないし、土地を買って家を建てるまでは大小の手続きで半休を取得する事もしばしばという状況であれば、ごく近しい人間には話しておく必要があった。
人の口に戸は建てられないもので、半年も経つと「どうも家を建てたらしい」という話を聞きつけた人間から何かの折に確認されたりする機会がちらほら出てくる。嘘をつく必要もないので別に否定はしない。

噂が真実であった事を知った質問者のリアクションはほぼ決まっていて、判を押したように
「結婚したの?」「結婚してましたっけ?」
セクハラか
少し前にマンションを買った同僚は独り身にも関わらず余りとやかく言われていなかった事を思い起こすと、やはりいまだ「一軒家は家族で住むもの」という認識は根強いようだ。ファミリータイプ3LDKマンションに単身で住む者は全く珍しくもないのだが、いくら部屋数が少なくとも「一軒家で独り住まい」はどこか奇異な印象を聞くものに与える(らしい)のも不思議なところだ。

一人で家を建てて住んでいる事が分かると、次の質問は大抵
「何で?」
となる。この問いには「何でマンションじゃなくて家?」と「何で建売じゃなくてわざわざ注文?」の二つの意味が含まれているのだが…いや何でと言われましても。何でかなあ。一番の理由は予算そして車とバイクの存在ついでに居候の存在なのだが、考えてみればそれだけなら建売住宅でもよかった筈。

冒頭の桐嶋ローランドの言葉が心境を表すのに一番近いかもしれない。ウハウハと言っても不埒な意味でなく、残りの人生を最大限楽しむ為の住まいを作るという意味で(いや別に不埒な意味でもいいんだけど。まだちょい枯れオヤジには早い)。

空き地の枯れた草叢に半ば埋もれ、朽ち果てるにまかされていたボロボロのマイクロバスや掘っ立て小屋。
自分にとっての家作りは、それらを使ったアジト遊びの遠い記憶が原点にあるのかもしれない。自分だけのアジトは当然自分が一から関わらなくてはいけないのだ。


冒頭の桐嶋ローランド、彼は離婚し独身となってから家づくりに着手した。もう10年は前になるだろうか、隈健吾が手がけたフォトスタジオ兼用の家は、その建築過程が雑誌で何ページにも渡って特集されていたのでよく憶えている。地下一階地上三階の重量鉄骨構造、外装には全て半透明のFRPを用い※1、内部は什器の収まりや配線、コンセント位置までセンチ単位でなくミリ単位で指定するという凝りに凝った仕様。
江角マキコとの短い結婚生活の失敗が余程堪えたのか、残りの人生を独身で通す事を決意した(と公言していた)彼は家作りに文字通り没頭する。「独身ウハウハ」などと茶化した物言いをしてはいるものの、そんな下心だけでやり切れるものでは到底ない※2。彼もまた、残りの一生を精一杯楽しみきる為の「アジト」作りに一切の妥協なく真剣に取り組んでいたのに違いない。

…まあこのイケメンは結局その後あっさり再婚してしまうというオチがつくのだが。


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※1 FRPを住宅の外壁に使用するのは初めての試みと隈氏はコメントしていた。ツーバイのように壁で応力を受け持つ構造ではないから強度は求められないのだろうが、紫外線に弱いというFRPの弱点はどのように克服したのだろうか。まさかメンテナンスの度に外壁を全て交換するわけにも行くまい。
※2 完成までの間は仕事もせず毎日現場に通い倒したと言うから恐れ入る。妥協のないこだわりは着工後も遺憾なく発揮され、工期を変更して差し込んだ仕様変更は数知れず。「いやあ現場は泣いてたよねー」などとにこやかに語り合う二人。まあ金さえあれば何でもありって事で。



posted by em at 23:49| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | After Move | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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