2010年10月09日

黄色い家

国立新美術館。
IMG_2726.JPG

ゴッホ展では期待していた「カラスの飛ぶ麦畑」の出品はなかった。卒業旅行以来の再見を楽しみにしていたのだが少し残念。
今回の展示では彼がアルルでの束の間の理想生活を送った「黄色い家」の復元(推定)間取り図が興味深い。
一階はその多くをアトリエが占め、二階に続く階段。
二階にはほんのささやかな寝室が二つ。有名なゴッホの寝室は実寸大のセットで再現されていたが、これが本当に狭い。台形の寝室は四畳にも満たない程で、簡素なベッドと小さな洗面台、一脚の椅子を置いたら床には人一人横たわるのがやっとという程度のスペースしか存在しない。
壁には自作の絵が2枚と、更に狭い隣のゴーギャンの寝室に通じるドア。
これが全て。当時としても相当に質素な生活ぶりはやはり日本人の生活をイメージしたものらしい。

延床面積で60uにも満たないであろう質素を絵に描いたような小さな家は「絵を描く」為だけに存在するLWHといってもいい。
それは日本のような陽光に満ちたアルル※1で芸術家のコミュニティを築くという理想を掲げたゴッホにとっての夢の住処であり、程なくして絶望の淵から狂気と破滅に転がり落ちていく地獄の舞台でもあった。


________________________________________________
※1 弟テオへの手紙では南仏アルルの地を選んだ理由を憧れの日本によく似ているからだと説明している。ガイジンさんにありがちな勘違いとしてはまあマシな方。確かにやや冷涼なパリの気候よりは地中海性気候の方が日本の気候には近いし。質素な生活も彼にとっての日本のイメージに沿ったもので、ゴッホの日本観が興味深い。

posted by em at 21:17| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。